2021年09月08日
~三流の神~
「ああ、主よ。何故、何故に私を見捨てたのですか?」
目の前にあるキリスト像は何も答えない。
「私から家族を奪い、友を死なせ、財産を全て奪って行った。何故このような現実が私に舞い降りるのでしょう」
傍らに居た男が言う。
「神があんたを救うなんて有り得ないね。そんなの無理だ」
「どうしてだっ!?」
「信じるものは救われる。そう言うだろ?あんたの今言ったセリフはどれも疑うような言葉ばかりじゃねぇか」
「それでも信じ続ければ救われるのだよ」
「ホントに信じていたら疑うような言葉は出て来ない。それに信じたって失ったものは帰ってこねぇよ」
「・・・・・・・・」
「ずいぶんと都合の良い神様だな、おい」
心なしかキリスト像が微笑んだような気がした。
END
hisui666 at 20:15│Comments(0)│
│黒い物語